調布スケッチ

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調布は35年間住んでいた私にとって愛着のある街で、都市圏にも近くまた国分寺崖線が生成する水と緑に恵まれたとても住みやすいところである。そんな街に住みながら色々と描きためたものである。

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■調布のまち

ぶらぶら散歩しながら眼にとまった調布の風景を目的もなくスケッチした。

00.03.25 大映撮影所
00.03.25 大映撮影所

大映撮影所裏  00.03.25

多摩川に近い場所に、日活撮影所とこの大映撮影所がある。調布は昔から映画の街ともいわれている。いまでも多摩川あたりでロケをやっているのをたまに見かける。
物の本で、フィルムの現像のため、多摩川のきれいな水が豊富なので撮影所ができたとあったが、本当だろうか。

00.03.25 野川・橋場橋
00.03.25 野川・橋場橋

橋場橋  00.03.25

野川と中央高速道が正にクロスする地点にこの橋がある。正面は国分寺崖線の豊かな緑がある。さらに崖線を越えれば深大寺周辺になる。橋の手前は武蔵野市場。朝早くから仕入れの商いで賑わう。調布駅から歩いてほんの15~20分程度で着く。

 

00.03.25 旧ハリウッド化粧品の桜
00.03.25 旧ハリウッド化粧品のオウカンザクラ

旧ハリウッド化粧品のオウカンザクラ  00.03.25

ハリウッド化粧品の工場は今はマンションになっていてもう無い。この敷地には、季節になるとオウカンザクラが華やかに満開となり近隣の人々に親しまれていた。
マンション建設にあたって人々がオウカンザクラを残すよう持ち主に働きかけたお陰で今も季節になると道の上空一杯に咲きほこる。

 

93.04.07 野川公園
93.04.07 野川公園

野川公園は調布、小金井、三鷹の3市にまたがったとても広い都立公園である。自然観察園、テニスコート、アスレチック、バーベキュー広場などの設備もあり、週末には家族連れの市民で賑わう。もとは国際基督教大学が所有していたゴルフ場であった。私もよく子どもや孫と一緒によく行ったものである。

 

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■調布の駅(2000年に描いたスケッチと説明文)

調布市内を貫いている京王電鉄が国領、布田、調布、京王多摩川の各駅が地下化になるに伴って、各駅周辺のまちの様子がこれからどんどん変わっていく。そこで駅周辺をスケッチにして記録した。

 

00.11.12 仙川駅前
00.11.12 仙川駅前

仙川駅前広場  00.11.12

駅前広場には枝ぶりのよい桜の樹がある。新しいバスロータリーの建設に際し、伐採される予定だったが、一部を移設し、一部を残すことになった。仙川の住人に昔から親しまれていて、駅前のシンボルとなっている。

 

00.11.12 仙川商店街
00.11.12 仙川商店街

仙川商店街  00.11.12

仙川周辺は調布市内のなかで一番賑わいのある街である。最近はしゃれた店が建ち並び、市外からやってくる人が多くなっているようである。 駅西側にあるこの仙川商店街は私の好きな通りのひとつである。道幅と両側に建ち並ぶ建物の高さの比例が、絶妙な商空間を形成している。

 

00.11.12 つつじケ丘駅南口
00.11.12 つつじケ丘駅南口

つつじヶ丘駅南口  00.11.12

駐輪場が隣接していて、いつも自転車で溢れている。ここから7~8分南に歩くと、武者小路実篤記念館がある。実篤が住んでいた家の敷地は閑静な庭で、たまに散策するのもよいものである。

 

00.11.12 つつじケ丘駅北口
00.11.12 つつじケ丘駅北口

つつじヶ丘駅北口  00.11.12]

駅ビルの1階に土産物店、花店、蕎麦屋がある。深大寺行きのバスがあるところをみると、深大寺の観光客むけの商売なのかもしれない。

 

00.11.12 柴崎駅前
00.11.12 柴崎駅前

柴崎駅南口  00.11.12

改札口をでると、すぐブックストア、八百屋、蕎麦屋、和菓子店など小さな店が並んでいる。周辺は高い建物がなく、ヒューマンスケールを感じさせる街並みである。駅正面の建物の2階にジャズのライヴを愉しめる店があるそうだ。

 

00.11.12 国領駅北口
00.11.12 国領駅北口

北口では超高層集合住宅が建設されている。人口が一気に増えるのだろうか。駅が地下化になるときっとこの辺の光景はがらっと変わると思うが、駅前の立ち食いの蕎麦屋がなくなるのはちょっと寂しい。

 

00.11.12 国領北口
00.11.12 国領北口

国領駅北口  00.11.12]

からあった貸店舗はもうすでにない。この貸店舗、場所の利を考えれば、結構利用度が高かったのではないだろうか。

 

00.11.12 布田駅南口
00.11.12 布田駅南口

布田駅南口  00.11.12

三鷹通りに続くこの通りは、幅員が狭いわりに交通量が多い。人や自転車で通行するのに容易ではない。南に下ると品川通りの交差点に椿地蔵という見過ごしてしまうほど小さな祠がある。更に南に下ると広大な田園畑がまだ残っている。更に南に下ると多摩川である。調布は景観としては結構変化があって面白い。

 

00.11.12 調布駅北口
00.11.12 調布駅北口

調布駅北口  00.11.12

改札口前がすぐ歩道になっていて、電車の発着のたびに人だかりになる。乗降客数に比して駅舎が小さいのだが、離れてこの駅舎をみると瀟洒な感じがしないでもない。
駅前を北に進むと新旧の甲州街道が東西に平行している。さらに北には中央高速道が平行していて、その先に深大寺を中心とした緑豊かなゾーンが広がる。

 

00.11.12 調布駅南口
00.11.12 調布駅南口

調布駅南口広場  00.11.12

地下改札口を出て階段を上るとすぐ、噴水がある。樹木が豊かなこの広場では、人待ちの人、お弁当を食べる人、ただぼーっとしている人、走り回っている小さな子など駅前広場としてはなかなかいい雰囲気がある。クリスマスの時期になると樹木がイルミネーションに飾られ、暗くなるのを待っている人で賑わう。ときどきフリーマーケットや何かの催しがあったりする多目的空間でもある。ここ数年ギターやサクソホーンなどを携えたグループが歌っている光景もふえたがこれもまた風物詩となっている。

 

00.11.12 調布駅南口商店街
00.11.12 調布駅南口商店街

調布駅南口商店街  00.11.12

品川通りから駅方面をみると、北口のビルが向こうにみえ、南口広場を蔽う緑がアイストップとなっている。いまこの辺は少しずつ地区計画によるまちづくりで変わりつつある。ただ、北口も含めて、もっと個性的な店があればいいと思っているのだけれど。

 

00.11.12 西調布駅前
00.11.12 西調布駅前

西調布駅前  00.11.12

このあたりは小さな寺が住宅街のなかにわりと多く混在している。もしかしたら昔は寺町だったのかもしれない。散策すると仄かにお線香のかおりがする。

 

00.11.12 飛田給駅前
00.11.12 飛田給駅前

飛田給駅前  00.11.12

駅舎建て替え工事中のスケッチで、もうすでにこの光景はない。今は新しい駅舎になっている。5万人規模のスタジアムができてイベントの日は大変な賑わいになるが、普段は静かな街である。
住人の人たちが力を合わせて駅周辺のまちづくりをしたとのこと、街を我が家と考えればこそできたことなのかもしれない。また逆に我が家も街の顔のひとつでもある。

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■調布の川

水と緑のまち調布といわれていて、街を流れる主な川は多摩川、野川、仙川があり、調布にとってなくてはならない風景としての財産である。

 

00.03.25 多摩川
00.03.25 多摩川

多摩川  00.03.25

流れがなす形が日毎に変化する多摩川がとても好きなのだが、護岸工事が進んでくると、その変化の愉しみが無くなるのだろうか。

 

91.06.01 多摩川
91.06.01 多摩川

多摩川  91.06.01

五本松横の自動車道路。限定時間だけ車の交通がある。

 

91.05.12 多摩川河川敷
91.05.12 多摩川河川敷

多摩川河川敷  91.06.12

ここは休日などには釣りを愉しむ人が集まるポイント。

 

92.04.08-多摩川土手
92.04.08-多摩川土手

多摩川土手  92.04.08

染地あたりから下流をみる。小田急電鉄の陸橋がみえる。
五本松の名で有名な松が見える。桜堤通りの桜が満開で、ちょうど花見客めあての屋台も風物詩のひとつになっている。

 

92.04.08 多摩川土手
92.04.08 多摩川土手
92.04.08 多摩川土手
92.04.08 多摩川土手

多摩川土手  92.04.08

多摩川住宅付近の桜堤通り際の土手。
まだ早朝なのでだれもいないが、そろそろ場所とりのために人がでてきて、やがて花見客でこの土手が一杯になる。

 

93.09.11 多摩川五本松
93.09.11 多摩川五本松

多摩川五本松  93.09.11

狛江エリアになる五本松。

 

 

94.04.05 多摩川土手
94.04.05 多摩川土手

多摩川土手  94.04.05

調布市民だけでなくお花見を楽しむ人々が遠いところからもやって来る。夏になると花火大会が開催され、やはり遠路から多くの人々やってきて土手や河川敷が一杯になる。

 

97.10.04 多摩川夕暮れ
97.10.04 多摩川夕暮れ

多摩川の夕暮れ  97.10.04

 

00.11.12 野川
00.11.12 野川

野川  00.11.12

菊野台あたりから南をみる。市内のほぼ真ん中を流れていて、最も市民に親しみのある川ではないだろうか。不思議なことに、この散策路を歩いているとかなり遠くまで足を伸ばしても疲れを感じさせない。

 

93.04.07 野川
93.04.07 野川
93.04.07 野川
93.04.07 野川

野川  93.04.07

三鷹市の大沢近くで野川公園側をみる。野川は国分寺崖線沿いに位置していて緑豊かでとても静かな川である。バードウォッチングのマニアをよくみかける。

 

00.11.12 仙川
00.11.12 仙川

仙川  00.11.12

緑ヶ丘一丁目付近の仙川。
仙川の東側には仙川崖線があり、豊かな緑の稜線を愉しみながら散策ができる。昔の水源地は三鷹の丸池だったそうであるが既に涸渇していている。下流の世田谷で野川と合流している。

 

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■調布の道

国分寺崖線や布田崖線がなす段丘地形により、変化に富んだ道が有機的に入り込んでいて、ぶらぶら気持ちよく散策できる道が多い。

 

03.09.21 小坂
03.09.21 小坂

小坂  03.09.21

深大寺元町あたりの武蔵境通り、南を見る。御塔坂より勾配がゆるいのでこのような坂名がついているそうである。計画道路の拡幅もきまり、この光景もいずれ無くなる。

 

00.03.25 大門通り
00.03.25 大門通り

大門通り  00.03.25

布多天神境内と電気通信大学キャンパスに挟まれた細い道で、北を見る。めったに車が通らない静かな散歩道である。

 

03.09.21 八幡坂
03.09.21 八幡坂

八幡坂  03.09.21

三鷹市に隣接する深大寺元町4丁目あたりの坂、南を見る。馬道ともいわれていたらしい。昔、八幡社が坂の上にあったそうである。なお、上石原にある若宮通りも八幡坂という。

 

00.03.25 保健所通り
00.03.25 保健所通り

保健所通り  00.03.25

桜堤通りとの交差点から保健所通り北を見る。左手は調布南高校、その奥は大映撮影所、桜堤通り東側には日活撮影所。このあたりはいつもは閑静な住宅街なのだが、多摩川の花火大会の日になると人一杯でごった返すのである。

 

03.09.21 旧御塔坂
03.09.21 旧御塔坂

旧御塔坂  03.09.21

別名「うとう坂」とも呼ばれていた。物の本によると、方言で深い切り通し道をウト、ウド、ウドウといったらしいが明らかではない。ただ確かに、この道は切り通しのようになっている。

 

03.09.21 新御塔坂
03.09.21 新御塔坂

新御塔坂  03.09.21

武蔵境通りで小坂から300m程南下した場所、北を見る。昭和6年ぐらいににできた道。東側に見えるのは鬱蒼とした緑のなかにぽつんと古くからある地元では有名な八百屋さん。

 

00.03.25 仁王坂
00.03.25 仁王坂

仁王坂  00.03.25

深大寺通りとの交差点から仁王坂の南を見る。保健所通りの南端から続くこの道は、シンボル道路と呼ばれる計画道路の予定となっていた最北端である。昔、仁王門があったことからこの名がついたそうである。

 

03.09.21 城山の坂
03.09.21 城山の坂

城山の坂  03.09.21

深大寺城跡のすぐ近くにあるのだが、けものみちのようになっていて、ほとんど人通りのない鬱蒼とした林の中にある。新宿から30分程のこの街に、まだこのようなところがあるのが調布。

 

03.09.21 阿弥陀堂の坂
03.09.21 阿弥陀堂の坂

阿弥陀堂の坂  03.09.21

深大寺自然広場の東側にある坂で昔は坂下に阿弥陀堂があったという。今は庚申塔や地蔵菩薩像が遺っている。

 

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■調布の寺・神社

どんな街にも名所がありますが、調布には調布八景というのがあります。そのうちなんと5景が寺・神社のスポットになっています。他にもたくさんの寺・神社が、こんなところにもあるんだなと思われるほど、街の中に馴染むように点在しています。

 

00.03.25 布多天神
00.03.25 布多天神

布多天神社  00.03.25

調布駅から天神通りの商店街を通って甲州街道を渡ると見えてくる。通勤の行きがけと帰りがけに必ず立ち寄って参拝を欠かさない人もいるとか。秋の祭礼では旧甲州街道がお神輿などで賑わう。

 

00.03.25 深大寺山門
00.03.25 深大寺山門

深大寺山門  00.03.25

この山門は茅葺の屋根を冠している。山門を通して本堂が見える。
夏目漱石の「門」は鎌倉の円覚寺での体験からの小説だとか。仏門の奥には何があるのか。山門の奥での日々のなか、自らの内面を模索するのだが、ついになにも見いだすことができない。漱石自身が人間として文学者として懊悩し、絶望するその心境が「門」に淡々と刻まれている。
「門」のせいか、どの寺でも本堂よりも山門のほうが気になってしょうがないのである。

 

91.12.31 深大寺本堂
91.12.31 深大寺本堂

深大寺本堂  91.12.31

大晦日の深大寺境内は閑散としていたが、明ける元旦は初詣の人々でごった返す。

 

00.05.03 国領神社
00.05.03 国領神社
00.05.03 国領神社
00.05.03 国領神社

国領神社  00.05.03

五月になると境内は千年の藤と呼ばれる藤棚が咲き乱れ、その彩りと匂い立つ香りは本当に見事である。いつもは静かな境内は、その季節の休日には藤の花を堪能する人たちで一杯になる。

 

00.06.02 上石原若宮八幡神社
00.06.02 上石原若宮八幡神社

上石原若宮八幡神社  00.06.02

布田崖線沿いの高台にある。崖線という立地のせいか緑豊かな境内で、訪れる四季それぞれの表情を愉しめる。また、総欅造りによる荘厳な意匠の本堂はとても存在感がある。

 

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