昨日、新川町の亀田川沿いにある三角グラウンドの傍で軟式野球ボールを拾った。
拾ったボールを握ってみたら私が小学校低学年の頃だと思うがこのグラウンドでよく野球をやったことをふと思い出した。６歳年上の兄は巨人軍の王貞治選手の大ファンで自らも野球少年だった。私は兄ほど野球に熱心ではなかったが、よく兄に誘われて怒鳴られながらも下手な野球をこの三角グラウンドでやったものだ。実家は決して裕福ではなく兄妹も多く息子たちに野球の道具を買ってやる余裕などなかった。バットやボールはなんとか近所の人からのお下がりを頂くことはできた。あとはグローブである。そこで兄は布の端切れと布団綿で手作りのグローブを二つ作って一つを私にくれた。しかしいくら大切に使っても一か月もすればボロボロになったがそれでも兄は嬉々として手作りのグローブを作ってくれたものだ。
三角グラウンドの傍に落ちていたボールから９年前に６６歳で一生を終えた野球好きの兄の事を思い出した。私は既に兄の享年を数年越してしまった。叶わぬこととてあの頃のように兄と三角グラウンドでキャッチボールをしたい。兄の手作りのグローブで。