書道展

或る方からチケットを頂いて道立函館美術館で開催されている「北海道書道展」を観た。私は書道に関しては全くの門外漢で絵画ほどの興味も持っていなかったが頂いたチケットを無駄にしたくなかったし、この機会に書道展を観ようと思い行ってきた。

展示室に入ると会員作品と公募作品の様々な表現の作品が数多く展示されていた。書道の知識がほとんど無い私には良い作品なのかどうか分からぬまま、かろうじて作品の横に付していたキャプションを頼りに何となく観ていた。しかし次第に作品を観ていくにつれ、書道の表現様式というのか作品の類別があることがパンフレットを通して漸く分かった。今回の書道展だけに設定した作品類別かどうかは分からないがパンフレットでは以下のようになっていた。

「第1部 漢字多数字数」「第2部 漢字小字数」「第3部 かな」「第4部 近代詩文」「第5部 墨象」「第6部 篆刻・刻字」

と以上のように6部に類別されていた。なるほど、このように整理して作品を観るととても分かり易い。最後の作品まで鑑賞して美術館の椅子に腰掛けて休憩して目を閉じているとジャズの即興プレイのような印象を想起した。或いは1940年代にアメリカで始まったアクション・ペインティング作品と二重写しになって瞼に映った。今まで殆ど書道に関心が無かったが、今回の書道展で書道の新たな印象を持てたように思う。書道は中国から伝わってきて平安時代の仮名文字と融合した日本独特の芸術文化だと思うが、それぞれの作品に接してみると日本独特という枠組みを超越した表現芸術だと思えた。

家に帰って書道について反芻してみた。そうして今年3月1日に永逝した篠田桃紅さんを思い出した。篠田さんは独学で書を学んだ。1956年にアメリカへ行き水墨でアブストラクトを制作し帰国後も常に独創的な作品を制作し続け、日本よりむしろ海外での評価が高かった。いまあらためて篠田桃紅さんの唯一無二の生き方と作品に瞠目し敬慕し羨望して献杯している次第である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。