「189」

「189」が児童相談所全国共通ダイヤルの電話番号だと知ったのはつい最近である。この3桁の電話番号になったのは2015年7月1日からで、それまでは児童相談所全国共通ダイヤルは10桁の電話番号だったという。恥ずかしいことながら、そもそも児童相談所全国共通ダイヤルというものがあったということ自体知らなかった。

仮に児童虐待かもしれない場面に遭遇したとしたら、その家に直に行って様子を伺って確かめるべきか、近くの児童相談所に連絡すべきか、警察に連絡すべきか、いや知らないふりをして関わらないほうがいいのか、一体どうしたらよいか悩むに違いない。

厚生労働省では児童相談所全国共通ダイヤルについてホームページを開設している。その中で189通報のフローについて説明をしている。

児童相談所全国共通ダイヤルのフロー
児童相談所全国共通ダイヤルのフロー

厚生労働省のこのホームページを見ていたとして、もし私が児童虐待かもしれない場面に遭遇したら果たしてなんの迷いもなく189通報するだろうか、自信が無い。ここでは単に189通報の呼びかけとやり方を紹介しているだけだからだ。

そんなことを考えていたとき、Yahoo!ニュース内にある社会活動家・湯浅誠さんの記事「児童虐待 はじめての189通報とその後に起こること」を読んで、189通報をするかどうかという迷いが解消されたように思う。

この記事の中で、実際に湯浅さんが児童虐待かもしれない場面に遭遇した時の実体験が書かれている。確信がないのに通報していいだろうか、通報したとしてその後の子どものことはどうなるのだろう、などなど実体験をとおして語られるリアルな言葉と児童相談所へのヒアリングなどとても参考になる。その記事の最後に「児童虐待の防止等に関する法律の第六条」と「児童福祉法の第二十五条」が載っていた。とても参考になったので最後にここに書かせていただく。


【児童虐待の防止等に関する法律】(抄)

(児童虐待に係る通告)

第六条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

2 前項の規定による通告は、児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条第一項の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。

3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

【児童福祉法】(抄)

第二十五条  要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。ただし、罪を犯した満十四歳以上の児童については、この限りでない。この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。

2 刑法 の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前項の規定による通告をすることを妨げるものと解釈してはならない。


どんな子どもであっても、その子どもには将来があるはずである。そういう当たり前のことが、虐待によって剥奪されていいはずがない。まず、189通報について、きちんと考えることから始まるのではないだろうか。

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