「あなたへ」

数日前、BS放送で映画「あなたへ」を観た。

北陸の刑務所の指導員・倉島英二(役:高倉健)宛てに亡くなった妻・洋子(役:田中裕子)から、灯台と小鳥の絵に「あなたへ 私の遺骨は 故郷の海へ 撒いて下さい さようなら」とだけ書かれた一通の絵手紙が届く。その絵手紙は妻・洋子の故郷・長崎県平戸の郵便局に保管されていた。洋子は亡くなってから英二に散骨を託したのだが、英二は洋子の真意が今ひとつ理解できないまま車で富山から平戸の海へ向かう。その途中、様々な人々との出会いで、その人々の人生の悲喜に触れていく。そうしていくうちに妻・洋子の英二に対する想いをだんだんと感じていくようになる。映画の中で使われる宮沢賢治の「星めぐりの歌」が効果的に流れる。・・・・とても静かな映画だった。

夫婦でも、親子でも、兄妹でも、友人でもすべて理解し合って生きているわけではない。理解できているということのほうがそもそも無理である。人が生きていくことそのものは簡単なことではない。灯台は暗黒の海に航海する船の縁(よすが)となる。小鳥は人の言葉は話せないがその鳴き声をよく聴くと小鳥の想いを感じることもできるかもしれない。妻・洋子の絵がそう暗示しているように思った。

函館湾の夕日
函館湾の夕陽

ところで、散骨を受託する企業のホームページを見ていたら、函館湾の海洋散骨の記事が載っていた。いつも夕陽を観ていた函館湾でも散骨されていたんだなと思うと、これからは函館湾の夕陽を少しだけ違った想いで観るようになるかもしれない。私がこの世から居なくなったら美しい函館湾に散骨してもらうのもいいかもしれないと。

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