昨夜は函館市公民館で催されたコントラバス奏者のコンサートへ行った。奏者の近藤聖也氏は私が卒業した高校の若い後輩である。
奏者は高校生のときにコントラバスを独学で始め、大学では応用物理工学を学んでいたが在学中の20歳のとき音楽大学の進学を決断し、本格的にコントラバスを学ぶようになり今に至っている。将来のエリートエンジニアの道を捨て音楽家の道を選んで歩む姿は私には眩しく清新に映った。
そして昨夜のコンサートは、コントラバスという楽器は単純な音源だという私の思い込みを覆すほどであった。コントラバスの胎内から響く音色は多彩で奏者の感情の起伏すら伝わってくるようで、コントラバスの魅力を再確認できた素晴らしいコンサートだった。
ところでコンサート会場の函館市公民館は、昭和8年に函館市青年会館として建てられた後、函館地方裁判所庁舎で一時使用され、戦後に占領軍に接収されてから昭和22年に函館市公民館として開館されたという歴史をもつ。鉄筋コンクリート造2階建地下1階で意匠設計は公募だったようだが、実施設計は函館市土木建築係技師の小南武一である。当時世界的な流れにあったインターナショナル建築であるが私には少しウィーン分離派建築を感じさせる意匠にも思えた。
久しぶりにこの建物を訪れてみると、この建物はもっと函館の重要な歴史的建物として評価されてもいいのではないかとあらためて思う。