昨年春から季節ごとに五稜郭公園の風景を定点撮影をした。今日で四季の風景が揃った。
春
公園は大勢の花見客で一杯になる。お弁当を広げる親子の微笑ましい姿、ジンギスカンパーティを楽しんでいる会社員や学生のグループの様子などをみると、青い若葉や鮮やかな花々が一斉に咲き始めるように人々も永い冬が終わりようやく到来した春を謳歌しているように感じる。
夏
横津岳、三森山、雁皮山など亀田半島の山々の上を夏雲が青い空にふわふわ浮き、親子鴨がのんびり堀を泳ぐ。五稜郭公園の郭内は豊かな樹木が多くとても涼しい。子どもの頃、夏の林間学校に参加したことを思い出す。
秋
ほぼ同じ種類の樹木がまとまって植林されているので、紅葉のボリュゥム感を愉しむことができる。紅、緑、青が石垣を彩り、水面に清々しく映る。この堀の水は五稜郭築城時に亀田川から檜の樋を敷いて取水していたが、やがて水が腐り悪臭を放つようになり昭和49年に水道水に切り替えて今に至っている。
冬
春、夏、秋とは全く違う表情を観せる真冬の五稜郭公園。堀は凍って雪が積もる。北海道新聞社発行の「はこだて歴史散歩」によれば、五稜郭公園の堀で明治2年ごろから天然製氷事業が始まり、当時外国の製氷が主流だった京浜地方に積み出されたのを機に明治14年には4,360トン、明治43年には1万トンもの製氷が日本各地へ積み出されていき、「函館氷」、「五稜郭氷」、「竜紋氷」というブランドで全国でもトップの品質と生産を誇っていたという。しかし昭和初期には水の汚染が進み、人造氷が作られるようになって五稜郭公園の天然製氷事業は終った。
これからしんしんと降り積む雪と折り合いつつ、函館の永い冬の季節を味わいながら春の訪れを愉しみに待つ。
五稜郭公園はいまや市民の憩いの場所となっている。子供の頃は函館公園の方が花見の場所であったと思う。毎年、自分等は四人で缶ちゅうはい一本づつと焼き鳥二本で五稜郭公園で花見をするのが恒例となっている。
不思議なもので他の人の料理が並んで楽しく幸せそうにしているのを見ると自分達もその仲間に入っている錯覚を覚える。
さあー、今年もその錯覚をしに花見に行きましょう。
花見酒、やりましょう、やりましょう!
こういう錯覚はおおいに結構!