今日は函館美術館で「昭和の絵画を切り拓いた若き情熱 1930年協会から独立へ」を鑑賞した。
1920年代、多くの日本の洋画家たちは西洋絵画を学ぶために渡仏していた。パリに留学していた前田寛治、里見勝蔵、木下孝則、佐伯祐三、小島善太郎は帰国後の1926年に「1930年協会」を結成して創作活動を展開し、当時の画壇に新風を起こした。だがやがてメンバーの死や離脱で会の衰退を来たしたのち、1930年に会を引き継いで「独立美術協会」が新結成された。そこには林武、福田一郎、三岸好太郎などの錚々たる画家たちが参加、まさに昭和の日本洋画壇のフロンティアとして展開していくことになる。
作品を観ると1920年代から1930年代の彼等の多くの作風は当時パリで留学していた頃に主流であったフォーヴィズムの影響を受けていたことが良くわかる。また、新しい流れとしてシュールリアリズムの影響も少しずつ出てくることもわかる。
今回の質量とも充実した展覧会を観て、この時代の洋画家たちが西洋に負けない作品を創りあげたいという意欲を肌で感じることができた。
函館美術館はあまり良い企画の展覧会が無いというのが私の印象である。道立ということからやはり鑑賞人口の多い札幌の近代美術館に良い企画の展覧会が集中するのかもしれない。今回の展覧会は地方7都市の巡回だからこれだけの作品が鑑賞出来た企画だと思う。一方、なかなか困難なこともあるだろうが、函館美術館には他に類をみない高い独自性を持った自主企画による展覧会を実現してもらいたいと願うばかりである。