「戦場のピアニスト」

録り溜めていた映画が随分溜まってきたので録画機のハードディスクの容量を減らさなければと思い、何か観てから削除することにした。何を観るか迷う中から数年前に観た「戦場のピアニスト」を選んで久しぶりに観た。

映画「戦場のピアニスト」
映画「戦場のピアニスト」

冒頭からショパンの夜想曲 第20番 嬰ハ短調 遺作が流れ、1939年9月のワルシャワの平和な街の映像から映画が始まる。ワルシャワのあるラジオスタジオの公開録音でその夜想曲 第20番を弾いているのがユダヤ系ポーランド人ピアニストのウワディスワフ・シュピルマンである。そこに突然ラジオ局が爆発し倒壊する。第二次世界大戦が勃発し、ドイツ空軍のポーランド侵攻による空爆である。

シュピルマンはなんとか家に帰り、フランスとイギリスがドイツに宣戦布告をすることを知るが戦況は変わることはなく、ワルシャワはドイツ軍に占拠される。そしてナチ(親衛隊)やナチ警察組織によるユダヤ人に対する苛烈な弾圧が始まり、ワルシャワのユダヤ人はユダヤ人居住区ゲットーに強制的に囲わされ迫害を受ける。

1942年、ユダヤ人居住区のユダヤ人はアウシュヴィッツやヘウムノなど強制収容所行きの家畜用列車に乗せられるが、シュピルマンだけナチ警察組織の知人にユダヤ人の列から外され家族と離ればなれになり、ゲットーで強制労働をさせられる。そんな中、シュピルマンは偶然知人女性のヤニナと会い、なんとかゲットーを脱出し、ヤニナが属する反ナチス地下活動組織の手助けで建物の一室に隠れて住むことになる。

ユダヤ人のワルシャワ・ゲットー蜂起が起こるがドイツ軍に鎮圧され多くのユダヤ人が殺される。難を逃れある建物の小屋裏に隠れていたシュピルマンは、ドイツ軍将校のホーゼンフェルトに見つかってしまう。シュピルマンはホーゼンフェルトから職業を訊かれ部屋にあった埃だらけのピアノでショパンのバラード 第1番 ト短調 作品23を弾く。久しぶりに弾くピアノは最初すこしたどたどしかったが、弾くにつれ見事なバラードが戦場の荒廃した空間に響き感動的に終わる。聴いていたホーゼンフェルトはドイツ人将校らしく表情を変えず、シュピルマンを捉えることなく後日、食糧を持ってくる。

やがてソ連軍がドイツ軍を攻めワルシャワをドイツ軍から解放することになる。シュピルマンの一命を助けたホーゼンフェルトはソ連軍の捕虜となり、平和を取り戻したワルシャワでシュピルマンは再びピアニストとして生きていく。

凄絶なドイツ軍によるワルシャワ制圧やユダヤ人に対する虐待をこの映画は強烈なリアリティをもって観る者に迫る。そしてショパンの夜想曲、バラード、マズルカがとても対比的にかつ効果的に流れる。ロマン・ポランスキーは映画の本質をしっかり表現する監督として定評があるが、この映画もやはりそうだった。またシュピルマン役のエイドリアン・ブロディの演技もこの映画には欠かせなかっただろうことを特筆しなければならない。

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