アルヴァー・アアルト

アルヴァー・アアルトの作品
アルヴァー・アアルトの作品集とポスター

先日、息子夫婦からのフィンランド旅行の土産の中に建築家アルヴァー・アアルト(1898.2.3~1976.5.11)の作品集とポスターが同梱されていた。

私が学生時代に最初に覚えた世界の4大巨匠建築家はル・コルビュジェ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ、そしてアルヴァー・アアルトであった。いずれも1890年代から1960年代の間にいわゆるモダニズム建築として代表的建築作品を残している。それまでの石造中心の古典主義様式を経て鉄、ガラス、コンクリートという新しい建築素材が生産されるのと呼応して彼ら建築家の表現が飛躍的な展開を示すことになる。おそらく最先端のコンテポラリィ建築も彼らモダニズム建築の影響なしには成り立っていないし、4大巨匠建築家のモダニズム建築は現代においても洗練された建築表現だと感じるのは私だけではないと思う。国内外の書店でも彼らの建築作品集が今でも専門家以外の人にも購買されているのはその証左である。

さて、送られてきた作品集の主人公アルヴァー・アアルトであるがフィンランドを中心に住宅、教会、公共建物、サナトリウム、図書館など多岐にわたる用途の建築を設計している。それらは北欧の国の自然、社会制度、国民性を充分理解したうえで、自然環境や都市環境といかに融和した空間を創るかを設計のテーマにしていたのだと思わせる作品ばかりである。建築家にありがちなデザイン重視のこれみよがしな設計ではなく、控えめで穏やかなそれでいて美しい品性のある設計を感じる。家具の設計もしていて北欧の豊かな森林からの恵みである木を使った人の身体に優しい椅子やテーブルなどは建築家としてよりアアルトの人間性そのものが伝わってくる。

北海道の建築を雑観してみると中央都市のそれと変わらない建築が横溢しつつあるが、北海道にあるべき建築ということを考えるとき、アアルトの建築を再考することは決して無駄なことではないかもしれないとこの作品集を見て感じた。

2件のコメント

  1. 息子さん夫婦のフィンランド旅行のお土産に建築家の作品集とポスターが送られてきた。
    息子さんには小さい時から自分の好きな建築家の話を聞かせていたのだろうと想像をする。
    親子の絆をみた気がする。勿論、剛君の文章力には敬服する。

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