今日、函館カトリック元町教会の聖堂で行われたチェロのコンサートを愉しんだ。函館の旧市街地には伝統的建造物が数多く遺されていて、コンサートが行われたこの教会の周辺は伝統的建造物群保存地区として指定されているエリアである。この伝統的建造物群保存地区は函館の歴史を偲ばせ、函館らしい景観を形成しているエリアである。このエリアの魅力を多くの人々に親しんで貰おうという趣旨で2004年から毎年行われているコンサートである。
奏者はルドヴィート・カンタ(チェリスト)と清水彩智(チェロ二重奏共演)、曲目はバッハ「無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調」、ポッパー「二つのチェロのための組曲」より、カサド「無伴奏チェロ組曲」、ピアソラ「オブリオン」、そしてアンコールはサンサーンス「白鳥」で、素晴らしい演奏だった。
ゴシック様式の函館カトリック元町教会聖堂に入ると、正面にローマ法王ベネディクト15世から贈られたという荘厳な祭壇や、祭壇に飾られた磔刑のイエス・キリスト像を中心に、聖書に由来するイコン像が眼に入ってくる。そして、左右の壁にはイエス・キリストが裁判にかけられてから磔刑までの「十字架の道行」と呼ばれている14のイコン像が飾られている。
このゴシック様式の宗教的空間の中で、バロックの雰囲気を醸し出すチェロの重厚な響きがヴォールト天井に響き渡り、ヨーロッパ中世の芸術文化であるゴシックとバロックの融合を想念した。
コンサートが終わってから久しぶりに元町配水場に立ち寄ってみた。函館カトリック元町教会越しに遠く駒ヶ岳が見えた。
元町配水場は葉が少し赤みを帯びてきた木々も見える。函館カトリック元町教会のコンサートの素晴らしさを味わったあと、スズメたちの愛らしさに気持ちを和ませながら元町から帰ってきた。