坂道の風景

函館山の麓には函館市街に向かって多くの坂道がある。昨日は午後遅めの時間から元町の坂道を歩いた。

護国神社坂
護国神社坂:このあたりの町の旧名が汐見町だったことから汐見坂とも呼ばれている。坂下に高田屋嘉兵衛像が立っていて、坂上には護国神社がある。街をとおして津軽海峡がよく見える。
南部坂
南部坂:外国の船が蝦夷地の近海に現れるようになって寛政11年に江戸幕府がこの地に南部藩の陣屋をおいたので南部坂と呼ばれている。坂上にはロープウェイの発着場所になっている。
二十間坂
二十間坂:昔、坂上あたりに大工が多く住んでいたため大工町坂と呼ばれていたという。明治12年の大火を経験して街区間の延焼を防ぐ目的で道幅を二十間(約36メートル)に拡幅したことから二十間坂と呼ばれている。空をみると少しずつ西日が射してきたようだ。
大三坂
大三坂:江戸時代、この辺に地方から村民などが陣屋に公用で来るために泊まる郷宿「大三」があったことから大三坂と呼ばれている。この坂は昭和62年に「日本の道百選」に選ばれている。石畳とナナカマドの街路樹が美しい。
チャチャ登り
チャチャ登り:大三坂をさらに登るとこの坂道がある。チャチャというのはアイヌ語で「おじいさん」という意味で、この坂道を登るとき急勾配のためだれでも前屈みで登る姿がお年寄りにみえることからチャチャ登りと呼ばれている。もう市街地が西日に照らされている。
日和坂
日和坂:昔は建物も少なく函館港が広く見えていたため空や海の様子がよくわかったことから日和坂と呼ばれたという。坂上では船魂神社が函館港の安全を護る。函館港に遊覧船が走る。
基坂
基坂:もともと函館から札幌までの函館本道の起点で、坂下に距離を計測する基準となる元標があったので基坂と呼ばれた。江戸時代、坂上に箱館奉行所があってこの辺りは中心地だったので、お役所坂、御殿坂とも呼ばれていたという。坂下にちょうど路面電車が通るところだった。遠くに函館港がみえる。
八幡坂
八幡坂:かつて坂上に八幡宮があったので八幡坂と呼ばれている。現在の八幡宮は谷地頭町にある。この坂道のプラタナスやニセアカシアなどの街路樹を通して透視図法的な効果で函館港が一番美しく見える。
八幡坂
夕暮れて八幡坂から街灯りが見えてきた。
八幡坂
すっかり夜になった八幡坂から函館港と市街地を見る。

10月になって函館は気持ちの良い日が続いている。散歩には一番良い季節かもしれない。それにしても坂道を登ったり下りたりはさすがに疲れたが、お陰で坂道からの風景を堪能できた。

4件のコメント

  1. こんにちは。また、お邪魔させていただきます。
    今回は坂の特集、どの写真もとても風情があって素敵ですね。
    特に大三坂には惹かれました。ここを歩いてみたいと強く思いました。
    そして、八幡坂の時間ごとの景色は、更に郷愁を駆り立ててくれます。
    かって、この坂見たさに訪れた北の町です。
    港町というには余りにも静かな佇まいと感じたのは、私が通りすがりの旅人だった故でしょうか。私の憧れた坂の多い港町そのものの写真を今回、存分に見せていただきました。ありがとうございました。

    1. azukoさん
      コメントを寄せていただいてありがとうございます。
      azukoさんが抱いていらっしゃる函館のイメージ、そのイメージを紡ぐお言葉は、まさに函館の街そのものを表現していらっしゃるように感じます。

      実は私も大三坂が好きなんです。ヒューマンスケールの道幅と石畳みのテクスチャ、四季それぞれの表情を見せてくれる街路樹、歴史を感じさせる旧い建物、坂道に響くチャペルの鐘の音、、、大三坂を散策すると本当に心が安らぎます。

  2. 匿名
    「無聊の日々」をいつも楽しく拝見しています。
    最近のazukoさんのコメントにも興味を持って見ています。
    一枚の写真。一節の文章にも思慮深くコメントを寄せています。これからも続くであろう
    「無聊の日々」azukoさんのコメントにエールを送ります。

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